nDiki : フックモデル

2020年12月4日 (金)

『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』

Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール

2018年に読んだ『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』(原題 Hooked: How to Build Habit-Forming Products)の読書ノートを書いていなかったのでハイライトしたところをざっと読み直した。

人は意識的な思考をほとんど伴わずに状況的なきっかけによって自動的に行動をとるようになることがある。プロダクトがそのような習慣性を作り上げることがあれば、ユーザーに継続的に利用してもらえる。さらに習慣化されたプロダクトは価値のあるものだと判断しより依存度が高まっていくのだ。

フックモデル

4つのステップを踏むことで人間の行動を習慣付けさせるのが本書の提唱する「フックモデル(The Hook Model)」だ。*1

  • トリガー (Trigger)
    • 外的トリガー (External Trigger)
    • 内的トリガー (Internal Trigger)
  • アクション (Action)
  • リワード (Variable Reward)
  • インベストメント (Investment)

がその4つのステップである。

本書を初めて読んだ時「インベストメント(投資)」がステップに含まれていることに驚き、そして経験的に非常になるほどと思ったのだ。自分は Tweet を見やすくするよう Twitter 上で日々リストを見直している。フックモデルではこれが「ユーザー自身が自分の体験を良くするための行動(インベストメント)」だというのだ。なるほど、習慣的に使っているプロダクトには実際にいろいろ投資しているなと驚いた。

本書では各ステップについてそれぞれ章を割いて、それぞれ「どのようなタイプのものがあるのか」「どのような心理的な背景があるのか」「どのような事例があるのか」を通して説明されている。

特にネットサービスの継続(Retention)を高めていきたいと考えているプロダクトマネージャーにとって読んで損の無い1冊だ。

[ 読書ノート ]

*1本書ではフック・モデルと表記

[ 12月4日全て ]

2020年12月7日 (月)

『いちばんやさしいグロースハックの教本 人気講師が教える急成長マーケティング戦略』

いちばんやさしいグロースハックの教本 人気講師が教える急成長マーケティング戦略 (単行本)

サービスのグロースに関するキーワードに AARRR と ARRRA がある。後者について本書で説明されているとのことで読んでみた。

ARRRA モデル

スタートアップメトリクス AARRR を株式会社VASILY(2018年4月の合併で株式会社スタートトゥデイテクノロジーズに)の実践の中で発展させたモデルだそうで、施策の順番とユーザー体験の最大化にポイントが置いている。ARRRA モデルでは以下のステージについて順に取り組んでいくことを提唱している。

  1. アクティベーション (Activation): ユーザー活性化
  2. リテンション (Retention): 継続(維持)
  3. リファラル (Referral): 紹介
  4. レベニュー (Revenue): 収益化
  5. アクイジション (Acquisition): ユーザー獲得

取り組む順番に並べられているので AARRR よりも実践しやすいモデルだ。

本書自体も理論ではなく実践の説明や事例紹介に重点が置かれている。手順やツール・分析方法など広く網羅されておりまさに「教本」だ。

グロースハック」という言葉が出てきたのが2012年前後(本書イントロダクションより)。よく耳にしていたのは2013年2014年頃。そして本書が出版されたのが2016年1月21日。他のスタートアップのフレームワーク(リーンアナリティクス・グロースピラミッド・顧客開発)と比較しても基本的な流れは同じだそうだ。「グロースハック」というワードの流行り廃りはあるかもしれないが、サービスを成長させるための考え方は普遍。平易にわかりやすく書かれている本書はこれからも良いガイドになりそうだ。

ちなみに著者の1人金山裕樹氏は『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』(2014年5月22日)の訳者でもあり、リテンション獲得に最も有効なフレームワークの1つとしてフックモデルを本書でも簡単に紹介していた。フックモデルの位置付けの再確認にもなってすっきり。

補足

海外では AARRR に対してリテンションを重視した RARRA モデル (Retention・Activation・Referral・Revenue・Acquisition) が2017年頃から提唱されているようだ。

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[ 読書ノート ] [ 事業成長 ] [ グロースハック ]

[ 12月7日全て ]

2021年1月2日 (土)

TikTok とフックモデル (TikTok 2日目)

コンテンツ設定で動画の言語を「日本語」にすることで馴染める動画がレコメンドに出るようになった。

「媚び系ダンス動画」や「ウケ狙い動画」ばかりかと思ったらイラストやアニメーションの1次・2次創作なども表示されてきて、思った以上に種類の幅が広くて驚いた。

動画をスキップ(スワイプ)する挙動で、レコメンドがパーソナライズされるのだろうと思うと、結構真剣に選別してしまう。 not for me な動画はさっさとスワイプせねばと強く思ってしまう。

フックモデルのステップで言うとスワイプが「アクション」ステップであると同時に「インベストメント」ステップを兼ねている。すごい。動画が表示される「リワード」ステップでは好みな動画と好みじゃない動画が混ざっているというランダム性も備えている。

「ソーシャル・テクノグラフィックスのはしご (グランズウェルより)」で言うところの観察者 (Spectators) がハマるしかけがうまく組み込まれていることを理解できた。これはハマるわけだ。

[ 1月2日全て ]

2021年6月25日 (金)

『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』

僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた

プロダクトの利用を習慣付けさせる要素についてさらに知りたくて『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』を読んでみた。

行動の習慣付けモデル「フックモデル」を解説している書籍『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』は、どのようにすれば顧客習慣的な利用を促しプロダクトを成長させられるかという視点で書かれていた。一方本書では、

物質の摂取を伴わずとも、強い心理的欲求を短期的に満たし、その一方で長期的には深刻なダメージを引き起こす行動に抵抗できないとき、それを行動嗜癖と呼ぶのである。

と行動嗜癖に警鐘を鳴らす立場で書かれている。自分自身 Twitter を日常的にチェックしていること、 Twitter 以外の利用も含めスマートフォンを頻繁を使っていることはまさに行動嗜癖によるものだ。最近、家に帰ると毎晩 TETRIS 99 をやりたくなるのも同様に行動嗜癖だろう。

ソーシャルメディアと行動嗜癖」「スマートフォン・タブレットと行動嗜癖」についての

ソーシャルメディアで過ごす時間が長い被験者は、そうでない被験者に比べて、集中して課題をこなす能力が低くなっていた

スマートフォンは、たとえ使っていなくても、そこにあるだけで人間関係を損なうのだ。スマートフォンの向こうに世界が広がっていることをつねに思い出しているので、目の前の会話に集中できない。

といった話にはもちろん思い当たる節があり、読んでいるとなかなか重い気持ちになってくる。

「オンラインコミュニケーションと行動嗜癖」という点では、

人間は、自分の行動が他人に影響を与える様子を観察することで、他人への共感や理解というものを学ぶ。目の前で反応を見られなければ共感力は育たない。

と、オンラインばかりではコミュニケーション力の成長に大きな問題が生じると言っている。これは子供だけでなく、大人のコミュニケーション力向上あるいは維持にも言えることだろう。

他人と向き合い、顔と顔をあわせ、会話を続けていくことはどういうことなのか、学ぶ機会が生じない。キーボードをスタッカートで叩く会話のリズムは--ウェブカメラを通じた交流も--実際に顔をあわせた会話のリズムとは大きく異なるし、情報を伝え合う範囲も極めて狭い。

昨年から仕事でのコミュニケーションのほとんどがオンラインになった。不可逆な社会変化によりオフィスワークとリモートワークのハイブリッドなワークスタイルは今後も続くだろう。「対面よりもビデオ会議」「ビデオ会議よりも通話会議」「通話会議よりもチャット」と、「効率的」「十分」という意見のもとに帯域の狭いコミュニケーションばかりが選ばれていくことで、ただでさえ低いコミュニケーション力が気が付かないうちにひどい事にならないかと懸念している。

オンラインだけで過ごしていると、自分の一部がしなびていくんです

忘れないでください。ピクルスになった脳は、二度とキュウリには戻りません

組織の創発・イノベーション創出のためにはオフィスワークかリモートワークかなどと考えを巡らす以前に、まずは自身の脳がしなびていかないようコミュニケーションを大切にしていかねばと感じた。

本書では「行動嗜癖の6つの要素」として

  1. 目標】ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること
  2. 【フィードバック】抵抗しづらく、また予測できないランダムな頻度で、報われる感覚 (正のフィードバック) があること
  3. 【進歩の実感】段階的に進歩・向上していく感覚があること
  4. 【難易度のエスカレート】徐々に難易度を増していくタスクがあること
  5. 【クリフハンガー】解消したいが解消されていない緊張感があること
  6. 【社会的相互作用】強い社会的な結びつきがあること

を挙げ、それぞれについて章を割いて説明している。また最後の方の章ではゲーミフィケーションの3つの要素として

  • ポイント制
  • バッジ
  • 上位に入ったプレイヤーを発表するランキング表(リーダーボード)

が挙げられていた。プロダクトのリテンション改善には、これらが参考になるだろう。ユーザーに価値を提供していくためという大前提を忘れずに得られた知見を活かしていきたい。

[ 読書ノート ]

[ 6月25日全て ]

2021年11月19日 (金)

第9回 『Hacking Growth グロースハック完全読本』を読む会 第7章 維持をハックする

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『Hacking Growth グロースハック完全読本』を読む会の第9回目。今日は「第7章 維持をハックする」。

リテンション (Activation) についての章。 RARRA に従ってまずリテンションの改善を検討するにあたり先に一度読んでいる章で、輪読会にあたり再読した。

初期ステージはアクティベーション改善の延長として、何回か利用し価値を体験することでプロダクトを好きになって継続利用してもらえるようする。

中期ステージではプロダクトの利用を習慣化させる。ここでフックモデルが登場する。

価値向上を予告するセクションでは「新機能の予告が持つ顧客維持効果」が説明されていた。確かに今後もプロダクトが改善されていく期待が持てるなら利用し続けようと思うものなあ。

長期ステージでは、主に最適化をしたり、適切な頻度での新機能提供などで新しい体験と価値の発見をしてもらう。

休眠顧客の再獲得(レザレクション)もこの章で合わせて説明されている。休眠理由を調査した上で、休眠理由に合わせた内容でメールやプッシュ通知・リターゲティング広告などを使いアプローチする。

新規顧客顧客維持率の計測と分析は分かりやすいんだけれど、中長期継続顧客や再獲得顧客の継続維持率の方はちょっと分かりづらい。こちらもコホートで分けていくべきなのだろうけれど、数が多くなってくると見通しが悪くなってくるなと。

[ 11月19日全て ]

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Naney Naney

Naney (なにい)です。株式会社ミクシィで SNS 事業の部長をしています。

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